日々是精進

基本的に、ひとりごと。

瞼の母 5/10

ちょっと辛口かもしれませんが、彼は素晴らしい
俳優さんだと思っているからこその感想です。
若干ネタバレ含みますので注意。




この作品は、こうして真面目に演じるよりも、
演歌歌手さんの座長公演とかでデフォルメした
かたちでの上演が相応しいのかな、と思いました。


確かに番場の忠太郎はクサナギ氏にはまる
役柄だったんじゃないかと思います。
顔も覚えていない母を思って路傍の老婆に声をかけ、
他人の母に寄り添っただけで涙する。
しかし素性は手折れの渡世人
何が違和感だったのかと言えば、
台詞回しに尽きるんじゃないかと思います。
他の役者さんと比べて、明らかに彼の
台詞だけが妙に浮いて感じました。
蒲田のときはそれが効果的、とも思えてしまった
早口台詞は全然聞き取れなくてダメダメだったし。


そういう演出だったのかもしれませんし、
パンフレットを読む限り、意識的なものを感じる内容でした。
よい悪いの問題ではないと思ってます。
でも、クサナギ氏の真骨頂、泣きのシーンも
何となく白々しくて全然泣けなかった。
前半の半べえのおっかさんのほうはまあまあ
よかったけど、クライマックスのしのぶさんとの
シーンでは全然だった。忠太郎が帰った後の
しのぶさんの側の感情しか伝わって来ませんでした。


ということは、演出側の伝えたいことと、私の
感じたところが重ならなかったってことですよね。


しのぶさん以外の出演者で印象に残ったのは、
篠井さんと西尾まりさん。西尾さんは何度か
拝見している女優さんではありますが、経験が
自信につながっている感じがすごくして
毎回いいなーって思います。
篠井さんはもう。しのぶさんとは違う意味で
存在そのものに力がある方ですね。
あと、風林火山駒井役の高橋一生くんも
いい味出してました。


無事に幕が開いた場所にいられてよかったです。
最後まで、怪我のないよう頑張って下さい。